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特徴

 楊名時八段錦・太極拳は、日本でもっとも早い時期から一般普及した太極拳です。

 創始者である師家・楊名時は1924年、中国山西省五台県の武門の家に生まれ、幼少の頃から実父より武術の手ほどきを受け、さらに多くの武術家から様々な伝統武術を伝授されました。

 1943年に官費留学生として来日し、京都大学に学んだ後、自身の修めた伝統太極拳をもとに、中国で制定された簡化24式太極拳に独自の工夫を加えて完成させたものが、楊名時太極拳です。

 「心・息・動」の調和(調心・調息・調身)を目指すゆったりとした動きを信条とし、中国古来の医療体術である「八段錦」とあわせて稽古する万人向けの運動として「楊名時八段錦・太極拳」と命名し、半世紀以上にわたり広く親しまれています。

比べない、競わない太極拳

 「武術ではなく、健康法」という言葉が納得できるほど、動きがゆったりとしている太極拳は、初心者にも取り組みやすく、実際にとても入門しやすい健康運動といえます。

 師家・楊名時はことあるごとに、競わないことの大切さを説きました。

 稽古では、初心者と経験者を分けることなくともに稽古しがら、ゆっくりと演舞する楽しさを味わうことができます。

心のゆとりがもたらすもの

 仲間の健康と幸せを願いながら、皆で一緒に心を込めて稽古することで、自分自身の健康と幸せを得られるだけでなく、窮屈でない、大らかな、ゆとりのある気持ちを持つことができます。

 心を豊かに持つこと、それ自体が健康法です。心の平安(平常心)なくして体はリラックスしません。

 心を込めて行う楊名時太極拳は「動く禅」「鶴の舞」とも称されます。ゆったりとした品格のある動きによって、心身の充実感がもたらされます。

調和と友好を目指して

 心と体の健康、仲間との友好、世界の平和を願う楊名時太極拳は、老若男女誰もが一生続けられるものとして日本に根づいています。

 ますます複雑化し、多様化する現代を生き抜く生活の知恵として、肉体と精神のバランスを求め、健康と長寿を求めていく人びとのニーズに応えることのできる健康法として、これからもさらなる社会貢献を目指していきます。

独自の稽古カリキュラム

 師家・楊名時により確立された稽古体系は、半世紀以上にわたり引き継がれています。

 基本的に、挨拶―立禅・甩手―八段錦(第一段錦〜第四段錦)―太極拳24の型の通し稽古―休憩―部分稽古―太極拳24の型の通し稽古―八段錦(第五段錦〜第八段錦)―立禅・甩手―挨拶 の流れで行います。

 本部道場で開催されている特別研修教室(「楊慧先生による特別研修教室」「楊玲奈先生による次世代向け講座」)では、全国各地から集まった師範、準師範の会員たちが、稽古カリキュラムに沿った稽古と指導法を学んでいます。