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楊名時の人生哲学

著書「太極拳のゆとり」より抜粋。

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自 力 更 生
(ツウ リイ グン ション) 
 健康に例をとっても、自分の体を健康にするには、まず自分で自分を鍛えなければならない。医者や薬に頼るのは二の次である。
 ひいては、自分の手で、今日よりさらに豊かな幸福をつくるべきだという意味にもなる。
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文 武 不 分
(ウェン ウ プ フェン)
 文と武を分けずに、共に学んで学習しなければならない。いくらすばらしい知識、頭脳をもっていても、体が丈夫でなければ、それを生かすことができない。逆に、体だけで中身が伴わなければいけない。
 心と体は分けられない。このことは、体を動かすことで、はじめて実感される。理屈で、頭だけではわからない。
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星 火 燎 原
(シン ホウオ リイアオ ユイアン) 
 わずかな火でもあれば、それが野原を焼き尽くすことができるという意味。『楚辞』に出てくる。
 広く解釈すれば、最初人に知られないことでも信念をもってよいことを推進していけば、やがて野火の勢いのように多くの賛同者が集まってくる。道のないところでも、人のためになることを努力するならば、きっと多くの人がそこを通るにちがいない、という意味にもつながる。
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学 而 不 厭
(シュイェ アル プウ チュイ) 
 自分自身で何かを学んでいるとき、もしいや気がさしたら、もうおしまいである。だから、太極拳、八段錦を学ぶときでも、あるいは他の稽古ごとでも、楽しめるように、飽きないように工夫していかなければならない。
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虚 心 使 人 進 歩
(シュイ シン シ レン チン プウ) 
 人間に謙虚さがなければ、進歩はありえない、という意味である。自分がもう偉くなったと思い込んでは、とても他人の言を聞き入れる余裕がなくなってしまう。これでは進歩も何もあったものではない。
 人間は生命あるかぎり、前進すべきものである。お互いに生命あるかぎり、人を尊敬し、理解することのできるような謙虚さをもとう。
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驕 傲 使 人 落 後
(チイアオ アオ シ レン ルウオ ホウ) 
 この言葉は、前の「虚心使人進歩」と呼応するものである。しばしば、前と続けて用いられる。謙虚さがなけれは進歩しないことを説き、うぬぼれが人を落伍させることを戒告している。謙虚とごうまんをうまく対比させて、人のとるべき態度を示唆した名言である。
 私は中伝の免状に、この対句を書いている。
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朝 気 蓬 勃
(チャオ チイ ポン ポオ) 
 朝のすがすがしく、はつらつとした様を形容した言葉で、意訳して、生気はつらつ、とした。
 毛主席が青年たちに希望を寄せられている言葉の中に、「君たち青年は、午前八時、九時の太陽のように生気はつらつとしており、まさに旺盛な時期にある…」とある。
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失 敗 者 成 功 之 母
(シ バイ チオ チオン クウオン チ ムウ) 
 人間は失敗を恐れてはならず、もし失敗したら、その原因をよく調べて、次にそれを生かす。そこに進歩が生まれる。不屈の精神で物事にアタックすれば、事は必ず成就する意味も含まれている。
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吃 一 塹、 長 一 智
(チ イ チイェン チアン イ チ) 
 人生には一度や二度のつまずきは必ずあるものだ。その苦い思いを、二度と繰り返さないようにするために、人は利口になり、つまずきに教えられるものだ。
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以 和 為 貴
(イ ホオ ウェイ コェイ) 
 東洋の思想をつきつめていけば、結局この和の精神に帰結する。和らぎの根本は、無私であり、「不存私心」である。人のとるべき理想の世界である。
 対人関係が和であれば、お互いに仲よくすることができ、国家間においては、戦争の悲劇がおこるはずもない。人間社会にとって最もたいせつなのは、和である。
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説 話 和 気
(シウオ ホウア ホウ チ) 
 この言葉は、日常生活においてごく当たり前のことであるが、そのくせ、なかなかできないことである。人と話をするとき、やさしい態度で、おだやかに話し、相手を尊敬し、決していばってはならない。そうすることによってはじめて人と和を結べる。
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柔 能 克 剛
(ロン ノン コウ カン) 
 人間も動かなければ退化して、短命のもとになる。特に人生の後半には柔らかさがたいせつで、剛に頼ると体をこわしてしまう。生活の中に、円と柔を加えなければならない。 「柳に雪折れなし」のことわざのように、柔軟はたいせつなことである。柳は柔らかいからこそ自然の風雪に耐え、春になると美しい姿を見せてくれる。剛であればポッキリ折れてしまうのである。
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求 大 同、 存 小 異
(チオ タア トウオン ツオエソ シイアオ イ) 
 個々の対人関係、あるいは国家と国家の間でも、すべて同じ考え方、同じ条件というわけではない。しかし、それぞれ異なった立場や体制のなかでもお互いが友好関係をもちたいならば、双方の利益の大前提を目ざし、個々の小さな違う点を残して徐々に解決していくことが最上策だという意味である。まさに故周総理の名言である。

 対人関係でも、相手の短所、欠点をあげつらわずに、相手の長所、よさに目を向けるといい、との教訓も含んでいよう。
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謙 虚 謹 慎
(チイェン シュイ チン シェン) 
 これは人生にとって、非常にたいせつなものだが、「謙虚」であってはじめて、他人の言葉に耳を傾けることができ、他の国のことを受け入れて素直に学ぶ気持になれる。
 また、「謹慎さ」があってこそ、人間は失敗を少なくすることができる。
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戒 驕 戒 躁
(チイェ チイアオ チイェ ツアオ) 
 人にいばり散らしたり、内心のあせりを戒める言葉。前に述べた「謙虚謹慎」とともに使う。
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人 言 有 信
(レン イェン イオウ シン) 
 言ったことは必ず行なう、実行することである。実行できないことを軽々しく約束しないことである。
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開 門 見 山
(カイ メン チイェン シアン) 
 腹を割って真心をさらけ出せば、相手もしぜんに真実をのぞかせてくれる。人間と人間との触れ合いが、この世を明るく、住みよくする。
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推 陳 出 新
(トェイ チェン チウ シン) 
 古いものの中には、たくさんのよいものがある。それを現在に役立たせることが重要だという意味である。
 八段錦や太極拳という、古くからの文化遺産の中に、たくさんの宝物が隠されている。歴史の中でみがかれてきた、貴重な、人体実験済みの運動を今に伝え、役立て、さらに大事に育て、受け継いでいかなければならない。歴史の中に、未来を貫くカギが隠されている。
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喝 水 勿 忘 搾 井 人
(ホウ シウェイ ウ ワン ワア チン レン) 
 水を飲むとき、井戸掘りの恩を忘るべからず、ということ。
この成語は、中国の古い重要な語で、自分たちにとって恩義のある人を忘れてはならないと戒めた言葉である。
 ことが成就すると、人間はとかく開拓に苦労した人のことなど忘れがちである。心しなければならない。
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推 己 及 人
(トェイ チイ チイ レン) 
 人間は、ややもすると自分のしたくないことを他人に押しつけたがるものだ。しかし、これではいけない。自分がいやなものは、他人もいやに決まっている。だから、相手を、他人を大事にする心がまえが必要である。そうすれば、相手も、他人も自分を大事にしてくれる。これが真の人の道である。
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欲 罷 不 能
(イュ バア ブ ネン) 
 太極拳も長くやれば、やめようとしてもやめられなくなる。理屈以上のものだ。そうなったら、生活の一部になる。単に健康によい、美容によいだけでなく、心が豊かになったり、考え方が深くなったりする。ということは、人間がこの複雑な世の中を生きていくうえで、いろいろなことが理解できるような体と頭脳ができてくることにもなる。
 四方八方に神経を配ることは、なにも武道だけが必要なのではない。病気から身を守り、闘わずに勝つことができたら理想である。
 ゆっくりした中で、かたさがない、しかも、敏捷さを含む太極拳は、同時に他人と仲よくやっていける柔軟さも身につけることができる。柔らかいものは寿命が長いのである。
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健康即幸福十訓

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